知らないうちに身についてしまった喋り癖が、話しベタの原因になっていることがあります。こうした癖を直してしまえば、あなたの喋りはグッとスムーズになります。ここでは、「喋りの悪癖をチェックしよう」のページで上げた5つの悪癖について、その直し方を紹介します。
1.「声が小さい、暗い」を解決
小さな声、細い声、暗い声は、腹式呼吸で話せば解決できます。いわゆる「お腹で息をする」腹式呼吸は、アナウンサーや声優、歌手など、明るく大きな声を出さなければいけない人たちに必須の呼吸法。また、無意識のうちに大きな声を出せる人は、この腹式呼吸を自然に(というより偶然に)身につけているといえるでしょう。
腹式呼吸でなぜ声が大きくなるか、というと、発声に使う息(空気)の量が多いからです。それもちょっとやそっとでなく、何倍にも増えます。これは科学的に確かめられています。
男性の肺活量は平均3,500ml、女性は2,500mlといわれていますが、これは、思い切り息を吸い込んだ時の量。ところが、人は普段のお喋りで、こんなに多くの空気は吸いません。たいてい600ml~700mlの呼吸量で喋っています。これを腹式呼吸に変えると、吸う息の量が肺活量目一杯の2,500ml~3,500mlに近づきます。なので、自然と大きな声が出せるようになるのです。腹式呼吸は、人前で話したり、大勢の前でスピーチするのに適した呼吸法といえるのです。
腹式呼吸は少しの練習でマスターできます。具体的な方法は『腹式呼吸のやり方』のページで紹介しています。
2.「発音が不明瞭」を解決
発音が不明瞭で、ボソボソといった喋りになってしまう原因は、唇・歯・舌の位置が正しくないためです。例えば「エ」と言う時、唇を充分横に広げていなかったり、「ス」と言う時に歯と歯の間に舌が入っていたり、「オ」と言う時に舌の奥の方が上に盛り上がっていなかったりすると、「言葉が不明瞭」になってしまいます。
これを直すには、正しい位置に唇・歯・舌を置くこと。ただ、それには正しい位置を知ったうえで練習しなければいけません。これが少し厄介です。
正しい位置をきちんと知りたい人は、元アナウンサーが主宰する話し方教室やセミナーに参加するといいでしょう。また、書籍やDVD教材で独習できないわけでもありません。当サイトの『発音を明確にする練習』のページでは、アナウンサー系話し方教室で行なわれている発音練習法を紹介しています。
3. 「え~、あ~、あの~」を解決
「え~、あ~、あの~」が入る癖を直すには、本人がそれを「聞き苦しい」と自覚することが何より大事と言われています。ほとんどの場合、無意識のうちに「あ~、え~」を入れてしまっているからです。自分のスピーチを録音して、「聞き苦しい」「直さなきゃ」と本気で思えれば、あとは次のような練習を繰り返せば直るはずです。
1)練習用の原稿を作る
まず、数分間分の練習用原稿を作ります。自分で書いた原稿でも、お気に入りのエッセイの一段落でも、テレビアナウンサーの台詞を書き取ったものでも、何でも構いません。
2) 「絶対余計な音は入れない」と決意する
「え~、あ~、あの~」などの余計な音は、絶対に出さないゾ! と固く決意しましょう。
3) 原稿を声にして読む
原稿を、ゆっくりと、話すような口調で読みあげます。平坦にではなく、話すような口調で読み上げてください。もちろん、さっきの決意は忘れずに。
最初からはうまくいきません。え~、あ~、は癖になっているので、決意しても出てきます。なので、早急に結果を求めず、粘り強く練習すること。1日数分間でも毎日続ければ、「1カ月で直る」と、管理人が通った話し方教室の先生は言っていました。
4. 「だらだらと話す」を解決
話し方にだらけた印象が出るのは、多くの場合、母音(あ・い・う・え・お)の長さに問題があると言われています。例えば「私は料理が趣味です」と言う時、「わたしわぁ、りょぉぉりがぁ、しゅみですぅぅ」というふうに母音を長くする癖があると、だらけた感じになります。
この傾向がある人は、それらを適度な長さにすることでだらけた印象をなくせます。自分でそれを意識して直すこともできますが、音の長さを自分で判断するのは難しいものがあります。こればかりは、教室の先生やスピーチトレーナーにみてもらったり、音声付きの手引書や教材などを利用する方がよさそうです。
また、語尾に来る母音だけが長くなるという人、つまり、「わたしわぁ~」「××でぇ~」というように言葉の最後だけが長くなる人は、アクセントを語頭に持って来るようにすれば治る場合があります。この練習法については『語尾を伸ばす学生風喋り方を自然になくす方法』のページで詳しく説明しています。
5. 「早口過ぎる・遅過ぎる」を解決
早口やスロー過ぎる喋りを直す実践的な方法に、シャドーイングがあります。これは、英語学習でいうシャドーイングと同じ。テレビ・ラジオのアナウンサーの喋りの後について、そっくり真似することです。
アナウンサーが喋り始めたら、一拍後から、その通り真似して言ってください。言葉の意味は分からなくても構いません。音だけ真似してついていけばいい。そうすると、喋るスピードがアナウンサーと同じになります。これを繰り返すうちに、適度なスピードが感覚的に身につくはずです。
ただ、この練習は「けっこう根気がいる」と言われています。取り組む時はそのつもりで焦らずに。
こうやって変な喋り癖を直してしまえば、あなたの足を引っ張るものはもうありません。あとは、あがり症と話ベタの克服を目指して、最短の道を行くことができます。
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