早口をやめることはあがり症改善につながる、と、多くのスピーチトレーナーや話し方教室の先生が言っています。早口をやめ、適度なスピードで話すと、脳の中が整理された状態になるからだそうです。
ただ、早口を直すのはなかなか難しく、先生たちによれば「どうやっても直らない人がいる」のも事実らしい。
ここでは、そんな「早口が直らない」人のために、早口のままでもあがらなくする方法をご紹介しようと思います。
1文喋った後に「間」を取る
どうしても早口が直らない人に、スピーチトレーナが勧めているのが「間」を取るという方法。喋りそのもののスピードは早くてもいい。けれど、喋りの切れ目切れ目に、長めの間を取ることです。例えば、文章でいうと「。」にあたる部分に、ちょっと長いかなと思えるくらいの「間」を入れる。
こうすると、早口が暴走しなくなる、と先生たちはいっています。また、よくありがちな、「自分で何を言っているのか分からなくなる」ということもなくなり、そのせいで頭が混乱してあがってしまうこともなくなるといいます。
「間」を取ることを簡単にできる人もいますが、あがり症の人の多くはその「間」=沈黙が恐く、やろうと思ってもなかなかできないのではないでしょうか。そこで、スピーチトレーナが提案している特訓法を2つご紹介しましょう。
指を折って2秒数える練習
1つめは、「間」を取ることを強制的に体に覚えこませる方法。ちょっととスパルタ式です。
1.まず、30秒~1分間ほどのスピーチー原稿を用意します。紙に書かなくても、頭の中で大体何を言うかがまとまっていて、30秒~1分程度何かを喋れれば構いません。
2.片手を開いて(パーの形にして)前に突き出し、その恰好で(一人で)スピーチを始めます。
3.1文の切れ目――文章でいえば「。」の部分――に来たら、そこで話すのを止めます。そして、開いた手の親指と人差し指を1本ずつ折って2つ数える。この時、心の中で「いーち、にぃー」とゆっくり数えます。(口では何も言いません)約2秒間、沈黙を守るわけです。
4.指を2つ折ったら、それを伸ばし、また手をパーの形にして、スピーチを続けます。また「。」にあたる部分に来たら、話すのを止め、指を2つ折る。これを繰り返しながら、最後までスピーチします。
この練習を毎日やって、指を折らなくても「間」が取れるようになれば成功です。実際にやってみると、指を折りながら次のフレーズを喋りだしてしまうことがよくあります。これはダメ。「指を折ってカウントしている間は、絶対に喋らない」という心構えが大事です。
協力者の合図を待つ練習
もう1つの練習法は協力者が1人必要です。
1. まず、自分の前に協力者を座らせます。2人の距離はあまり近くなく、数メートル離れた方がいいでしょう。
2. その協力者に向けてスピーチを始めます。文が「~です。」「~ます。」で終わったら、そこで話を止める。そして協力者の顔を見ます。協力者はそこで頷き、「次に行っていいよ」という合図をする。その合図を見たらスピーチを続けます。
3. そしてまた文末の「。」に来たら止める。協力者の頷きを確認してから次に進む。これをくり返します。この間、協力者は、頷くまでの時間を少しずつ長くしていきます。つまり、沈黙の時間を少しずつ長くするわけです。そうすることで、沈黙に耐える力をつけるのが狙いです。
これが上手く行けば、「間」の沈黙が恐くなくなり、意図的に「間」をコントロールできるようになるそう。また、相手がいるこの練習のほうが、指を折る練習よりも精神集中しやすいそうです。
早口がどうしても直らないなら、早口のままでいいので、「間」を取ることを考えてみてください。そのために、上に挙げた練習が役立つと思います。適度な「間」は、あがり症改善に確実に繋がっています。
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