心理学では、あがりやすい人の性格には3種類あるといいます。ここではその3つタイプの特徴と、それぞれのタイプ別に、あがり症克服のために気をつけたい点を説明します。
人間関係を重視するタイプ
社会や集団の中で人間関係を特に重視して生きている人は、あがり症になりやすいと言われています。
人には誰でも「自分のやりたいことを達成しよう」という気持ちと、「自分のことより周囲の人間関係を良好にしよう」という、相反する気持ちが同居しています。2つの気持のどちらの割合が大きいかは人それぞれですが、後者、つまり人間関係をより重視する人ほど、あがり症になりやすいと考えられています。人間関係重視の人は、自分の目標達成よりも、人からの評価が行動基準になるので、他人の目に晒されるような場では緊張して、心が不安定になりやすいのです。
あなたはどうですか? 「人間関係重視」に偏り過ぎていませんか? もしそうなら、重視するポイントを「自分寄り」にずらすといいでしょう。「自分は何がやりたいのか」、「自分は何がうれしいのか」というように、自分を主語にしてモノを考える癖をつけるのがいい、と心理学者は言います。
評価をディスカウントするタイプ
人から「今日の服、素敵ですね」と言われても、素直に喜べない。どうせお世辞だろう、と思ってしまったり、皮肉を言われたにちがいない、と思ってしまう。あるいは、「今日はシンプルな服なんですね」と言われたら、「地味でつまらない服だ」と言われたように感じてしまう。
こんなふうに、人からの評価をディスカウントする癖、あなたにありませんか?
このタイプの人も、あがり症になりやすいと言われています。自分の価値を、実際より低く見積もる傾向があり、人前で自信が持てなくなってしまうからです。
こういったディスカウント癖を治す決定的な方法は、残念ながら現在のところないようです。ただ、あがり症の相談を多く受ける心理カウンセラーによれば、「親しい相手を選んで、他人の悪口やぐちを吐き出すといい」とのこと。他人に対する悪い評価を吐き出してしまうのが大事らしいのです。そうすると、自分の心のバランスが戻り、他人からの評価も正しく受け取れるようになるそう。なぜそれがいいのかはよく分かりません。
「オール・オア・ナッシング」タイプ
もう1つ、あがり症の人に多い性格に「オール・オア・ナッシング」タイプがあります。
例えば、今つきあっている異性がいたら、その人が恋人なのか友だちなのかをはっきりさせないと落ち着かない。
例えば、食事の時に、いろいろな料理に箸をつけながら食べるのが嫌いで、一品ずつ片付けないと気が済まない。
例えば、1対1でじっくり話すのは平気だけど、5~6人のグループで話題がコロコロ変わるとついていけない。
こういう人はほぼ、「オール・オア・ナッシング」タイプの性格と言えるでしょう。
中途半端が嫌い、あいまいが嫌い、物事に白黒はっきりつけたがるという「オール・オア・ナッシング」タイプは、自分に対しても完璧を求めることが多いので、人前で何かする時に強いストレスを感じてしまうのです。(中には正反対に、度胸がすわっていて全然あがらない人もいますが)
心当たり、ありますか?
もしあるなら、どうすればいいか? 「あいまいなものを、あいまいなまま受け入れる気持」を育てるといいそうです。言い換えれば、物事にすぐ白黒をつけず、グレーゾーンに置いたまま放っておけるようにする。心理学ではこれを「あいまい耐性をつける」と言います。
ここに挙げた3タイプ。自分が当てはまったら、これまでの自分を考え直してみるいい機会かもしれません。そうすれば、あがり症を克服していく上で、基本的な助けになるはずです。
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