ある種の向上心はあがり症をこじらせる

向上心が強いのはいいことです。例えば、自分の短所を素直に認めて直す。あるいは、長所をもっと伸ばすように努力する。こういう向上心の強さは、仕事で大事なだけでなく、人間としても大切なことだと思います。

ところが、その向上心の強さが、あがり症を悪化させている場合があるらしいのです。

人間科学と認知行動療法を研究したある心理カウンセラーが、著書の中でこんなことを書いていました。

向上心には2種類ある

その心理カウンセラーによると、向上心には2つのタイプがあるそうです。それは、ポジティブな向上心と、ネガティブな向上心。

ポジティブな向上心とは、素直な、前向きな姿勢のある向上心です。自分自身を見る目にブレがなく、自己評価が(良い評価であっても悪い評価であっても)安定している場合、その向上心はポジティブだといえます。こういったポジティブな向上心の持ち主は、困難な場面に際しても、心のどこかで自分に対する自信を持っているそう。

これに対してネガティブな向上心とは、自分に満足できない気持が原因となって起こっているもの。どこかが足りない自分を、プラスマイナスゼロにしようとして頑張るタイプの向上心です。劣等感から生まれた向上心、と言い換えてもいいでしょう。

ネガティブな向上心は危険

あがり症を引き起こしやすい、あるいはあがり症を悪化させやすいのは、ネガティブな向上心である――と、前述の心理カウンセラーは言っています。

ポジティブな向上心で動いている人は、明確な行動目標を持ち、それを達成した自分に対して、きちんとしたプラス評価を与えることができるそう。こういう人は、人前に出て失敗したり、あがることがあっても、持ち前の向上心を発揮して克服してしまうといいます。

ところが、ネガティブな向上心の持ち主は違います。自分に対する不満、自分をプラスに評価できない気持がいつもあるため、目標を達成しても不安が消えていかない。たとえ良い結果が出たとしても、「もっと早くできればよかった」とか、「まだまだ完璧とはいえない」とマイナス部分をピックアップし、かえって自信をなくしていくのがこのタイプの人です。

そして、完璧を目指して努力すればするほど「まだまだダメな自分」を強く意識してしまい、ますます自信を失う。それがあがり症への道に繋がっている、と心理カウンセラーは指摘しています。

自己評価の心をつくる

一般的に、あがり症克服には自信を持つことが大事と言われます。そして、自信を持つには、小さな成功体験を積み重ねることが大事とも言われています。

しかし、正確に言うと、成功体験を重ねるだけでは自信はつきません。どんなに素晴らしい目標を達成しても、成功体験をいくら重ねても、その本人が「いやー、まだまだだ」と考えていれば自信はつかないからです。

心理学では、自信とは自分を承認することによって得られる安心感だ、といいます。周囲がいくら褒めても、本人がまだダメだと思っていれば、自信にはつながりません。結局、実際に成功体験をしても、それを評価して自己承認しなければ、自信は生まれないのです。

自分の向上心がどちらのタイプか考えてみて、もしネガティブなタイプなら、まずそれを変えた方がいいかもしれません。それには、あがり症専門のカウンセラーや話し方教室の先生からのアドバイスが役立ちます。ただ、そういった人たちなら誰のアドバイスでもいいというわけではなく、人間科学や心理学、認知行動療法などに精通した人からのアドバイスが必要になると思います。

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