あがり症は下手に場数を踏むと悪くなる

「あがり症なんて、場数を踏めば治ってしまう」と言う人はよくいます。管理人があがり症で悩んでいた頃、会社の上司や先輩に相談すると、たいていこう言われました。

場数で治るとアドバイスする人たちの多くは、「要は慣れが足りないだけ」、「何度も人前で話しているうちに自然と治る」と考えているようです。ところが、これは素人考えです。

あがり症専門の心理カウンセラーや話し方教室の先生の多くが、これとは逆に、「あがり症は下手に場数を踏むと悪くなる」と言っています。

おいしいレストランの例

どうして場数を踏んでもだめなのか? それはモチベーションの問題が関わっているといいます。ある心理カウンセラーがわかりやすい例をあげて、こんな説明をしていました。

例えば、美味しいものが大好きな人がいたとします。けれどあがり症で、人人目に晒される場所では極度に緊張してしまう。こういう人が、初めて高級フレンチレストランに行ったと考えてください。すると、当然ですが、使い慣れないナイフやフォークが音を立てたりする。本人にしてみれば「ナイフやフォークを使い慣れているように見せたい」のに、そうでないことが周りにバレてしまう。そうなると、さらに緊張してしまう。

でも、食べ終わった後、「美味しかった」というプラスの気持ちが(いくらかでも)残ります。

これを、人前で話すときと比べてみてください。人前で話してあがってしまった後、残るのは「上手く喋れなかった自分」を後悔する気持。そんな自分を嫌悪したり自責したりするという、マイナスの気持ちだけが残るものです。そして「人前で話すのはもう二度と嫌だ!」という気になってしまう。

さて、ここで場数を踏むとどうなるでしょう。

レストランの場合は、「美味しかった」という気持ちが記憶に残り、それがモチベーションになって、「もう一度行こう」という気になる。何度も行っているうちに、ナイフとフォークの扱いにも慣れ、緊張しないで味わえるようになる――あがり症専門の心理カウンセラーはこう言っています。

ところが人前で話す場合、「美味しかった」にあたるようなプラスの感情が残りません。つまり、モチベーションになるようなものがないのです。あるのは自己嫌悪や後悔だけ。そして、それを我慢して場数を踏めば踏むほど、自己嫌悪や後悔は積み重なって強くなっていく。それであがり症は悪くなっていく、というのです。

場数を踏むのはもっと後から

あがり症の心理カウンセラーや話し方教室の先生は、「場数を踏むのはもう少し後で必要になること」だと言っています。

あがり症克服のために、いろいろなやり方が考えられています。それがどんな方法でも、やっていくうちに少しずつ効果が出てくるもの。そして、ある時期になると、時たまドキドキせずに話せたり、声が震えなかったりするようになる。そうすると、それまで感じていた嫌悪感が薄らぎ、「自分だってできるじゃないか」というモチベーションが生まれます。

場数を踏むのが必要なのは、ここから先だというのですね。

モチベーションが生まれれば、あとは場数を踏んで慣れていけます。ドキドキしなかった経験や、声が震えなかった経験を足掛かりにして、いろいろな場面でそれを試し、あがり症を克服していけます。

基本ルールを知ること

これと同じことを、アナウンサー出身のある話し方教室の先生は、別の言い方で言っていました。人前での話し方には基本的なルールがある。それを知らずに場数を踏んでも、失敗するばかりで進歩しない、と。

進歩しないだけでなく、自己流の変な癖がついて、ますます話ベタになるとさえ言われています。ゴルフや水泳などスポーツの世界では、「自己流でやっても変な癖がつくだけだ」とよく言われますが、人前で話すのも、それと似ているのではないでしょうか。

やみくもに場数を踏めばいい、というのは、あがり症を知らない人たちの無責任なアドバイス。本当にあがり症を克服したいなら、専門家のアドバイスに耳を傾けた方がいいように思います。

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