あがり症でも、相手の「過去」について質問すれば会話が続く

人前に出たときとは別に、1対1の会話でも軽くあがって、会話が続かなくなる人は少なくないはず。例えば、営業に行った先でお客と2人きりの状況になったときとか、パーティーでよく知らない相手に話しかけられたときとか……。

そんなときに役立つ方法を1つご紹介します。これは、何かの本で管理人が知った方法で、ここ1年間実際にやってみて大分助けられています。

本来は口ベタ営業職向けのノウハウらしい

その本は、口ベタな人向け営業会話術、みたいなノウハウ本でした。口ベタあがり症なのにトップセールスマンになり、今では企業の営業マン教育を専業にしているという人が書いた本でした。

その人が、「会話のコツはこれに尽きる」というほど勧めていたのが、相手の過去について質問すること。

例えば、車の営業マンだったら、「最初に乗った車はどんな車でした?」と昔のことを聞く。「今乗っている車は何ですか?」と今のことを(いきなり)聞くのはだめ。「将来乗りたい車は何ですか?」と未来のことを(いきなり)聞くのもだめ。

なぜかというと、理由は2つあるそうです。その1つは、人は今の自分や未来のことをいきなり聞かれると警戒するものだから。車の営業マンに「今乗っている車は?」とか「将来乗りたい車は?」と聞かれると、誰だって売り込みだなと思い、警戒しますよね。例えば会社の先輩から「今度の日曜、何してる?」と、未来のことをいきなり聞かれたら、「嫌なお誘いかも」と思ってちょっと警戒しませんか? パーティーで初めて話す相手から「今どこに住んでるの?」といきなり聞かれたら、家に来る気なのかと、やはり警戒するだろうと思います。

相手に警戒心を起こさせてしまうと、当然、会話は弾まなくなる。

だから、過去のことを質問するといいのです。車の営業マンなら、今や未来の車のことじゃなく、最初に乗った車のことを聞くといいそうです。それなら、聞かれた方としては、今の自分とは遠いことなので警戒心が薄らぎます。会社の同僚や後輩との雑談で、「今度の日曜、何してる?」と未来について聞くと、相手の口は重くなる。でも「先週の日曜、何してた?」と、もう終わってしまった過去を聞けば、相手はずっと答えやすい。

過去についての質問は、相手にとって答えやすいのです。だから会話が進みやすい。

人は未来のことをすぐに答えられない

過去の質問がいい理由はもう1つあります。それは、人は未来のことをすぐに答えられない、ということ。例えば「明日の昼ごはんは何をたべるつもり?」と聞かれたらどうですか。すぐに答えられますか? 「将来乗りたい車は?」と聞かれたら、即答できるでしょうか。たいていの人は普段からそんなことを考えていません。なので、考えなきゃ答えられない。当然、「うーん」という間ができ、そこで会話が停滞します。

では、過去の質問はどうか。「明日」ではなく「昨日の昼ごはん、何食べた?」という質問なら、特に考えることなく答えが出てくる。「将来の車」ではなく「最初に乗った車」についての質問ならすぐに答えられる。

こんなふうに、過去に関する質問なら考えなくても答えられる。だから、会話がストップしてしまうことがないのです。この点からも、過去について質問は、会話を進めるのにいいことなんです。

過去は、現在、未来へと続く

過去について質問することには、まだまだメリットがあります。それは、過去から現在・未来へと話を発展させられること。「昨日の昼は何食べました?」「ハンバーグ定食だったかな」「じゃあ今日の昼は?」「ラーメンだったよ」「それじゃあ明日は何にしましょうか?」「じゃあ油っぽくない和食とか、蕎麦とかがいいな」といった感じ。さらには、「○○さん、お蕎麦とか好きなんですか?」とか「和食はよく食べるんですか?」というように、話題を広げていくこともできます。

過去のことから始めて話を発展させる例を、営業の場面で挙げるとこんな感じになるでしょう。

「○○専務は、以前、どんなお仕事をされていたんですか?」(←まず過去の質問)

「うん、私も営業をやってたよ」

「あ、そうなんですか。どんな営業を?」

「業務用什器のメーカーで営業をやってたんだ」(←過去のことなので専務ししてみれば話しやすい)

そうなんですかー」

「私も君ぐらいの頃は、よく飛び込み営業をやってたもんだ」(←過去なので話しやすい)

「大変だったんでしょうね」

「そりゃそうさ。あの頃は仕事量も半端じゃなくてさ、君らと違って終電があたりまえだよ。でもおかげで成績はいつもトップさ」(←過去なので話しやすい)

「それはすごいですね。どうやったらそんなに売れるようになるんですか?」(←微妙に現在の質問へとズラす)

「それはだな……うーん、焦らず、まずはお客さんと仲良くなることかな」(←現在について話し始めている)

「なるほど。でも、どうしたら仲良くなれるんでしょう?」

「そこが難しいんだが、ちょっとしたコツがあってね……」(←と話が広がる)

パーティでも役立つ

過去の質問が役立つ例をもう1つ。パーティや初デートなどでよく知らない相手と話すとき、こんなふうに話題を広げていけます。

(男性が話をリードすると想定して)
「……ところで、学生の頃は何になりたかったの?」(←過去の質問から始める)

「うーん、何だろう、高校の頃はエステティシャンになりたかったかな」

「へえ、でもそんな職業、高校の頃からよく知ってたね」

「近所に住んでた親戚のお姉さんがエステティシャンだったのよ」

「それでなりたいと思ったんだ?」

「うん、1度、顔とか腕とかのマッサージをやってもらったことがあって」

「どんな感じなの?」

「すっごく気持よかった。それで、こんな仕事ならしてもいいかなあ、って」

「そういう経験て大事だよね。でも、なのにどうしてならなかったの?」(←過去から現在に向けて話題をズラす)

「それにはいろいろあるのよ」

「へえ、それを聞きたいなあ」(これから現在・未来へと話を発展させていける)

この例のまんま上手く進むとは限りませんが、過去のことから始めて現在・未来へと話を進めていけば、相手の口は軽くなり、途中でいろいろな話題を見つけてそれを発展させることができます。実は、管理人はこの方法に、今でも大分助けらています。

管理人の本業はいわゆる編集ライターで、中小企業経営者や職人さん、地域で活動するアーティストなどを取材するのが主な仕事です。そういった取材の時に、この「過去の質問」をフル活用します。以前は、相手が話してくれずに困ることがよくありましたが、「過去の質問」を使うようになってから、そういう心配はなくなりました。

また、取材現場での空き時間に編集者やスタッフと雑談するときも、この「過去の質問」が役立っています。

人との会話が続かなくて困っているなら、「過去の質問」を試してみてはどうでしょうか。これ1つであがり症が治る、とまでは言えないと思いますが、少なくとも、会話が続かずきまり悪い思いをすることはなくなるはずです。

あがり症を無くしたい人にぜひ見てほしいもの

当サイトの管理人が実際に役立てた電子書籍です。「あがり」のせいで絶望的になっていた私が、前向きに毎日を過ごせるようになりました。今、もう、あがることはありません。誰でもできる簡単なステップなので、根気が続かない人や自信のない人にもおすすめです。

行列のできる、とよだクリニック監修
あがり症改善プログラム
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