あがりはほとんど人に伝わっていない。ビデオに撮ればそれがわかる

管理人が一時期通っていた話し方教室では、生徒が話す様子を、必ずビデオに撮っていました。後で、話した本人にそれを見せて、「あがりはほとんど人に伝わっていない」とわからせるためです。

それが「あがり症改善のきっかけになる」と、教室の先生は言っていました。

ビデオがあがり症改善にどう繋がるのか、これからそれを説明します。

イメージのギャップから生まれる「あがり」

あがりが起こる心理的原因は、心理学者でも、まだ完全には分かっていません。それでも、いくつかの候補はあがっています。ひとつには「自分が頭の中で描く自己イメージと、現実の自分とのギャップ」があります。

人前に出るとき、意識的にせよ無意識にせよ、誰でも自己イメージを頭の中に描く――と心理学者は言います。たいていそれは理想の自分、あるいは「こうあらねば」と目標にする自分だといわれます。それが現実の自分と一致していればいいのですが、ほとんどの場合一致しません、よね?

すると、イメージと現実の間にギャップが生まれる。そのギャップが心理的な不調和(歪み)を生み、その不調和が脳にパニックを起こさせる。

このパニックが「あがり」である、と心理学者は説明しています。(これについては「あがり症の心理的4原因~心理カウンセラーが言っていること」ページでより詳しく書きました)

話がちょっと抽象的になりましたが、管理人の実感を交えてこれを言い換えると、次のようになります。

まず、人前で話すとき、管理人は「堂々とした自分」や「カッコいい自分」を無意識のうちにイメージしてしまいます。いや、カッコいいというのは言い過ぎかもしれませんが、少なくとも「スピーチをきちんとこなす自分」のイメージが、頭のどこかにあります。

ところが実際その場になると、誰でもそうですが、緊張しますよね。「あがり」ではなく、その前段階ともいえる緊張。そして(管理人の場合)心臓がドキドキし、手のひらに汗をかき、声が多少震えたりします。これ、イメージしていた自分と正反対です。「堂々とした」自分じゃなく、はっきり言って「おどおどした」自分。こうは見られたくない、と思っているダメな自分です。

こんなはずじゃない、と思い、その場で何とかしようとしてもできない。というのも、当然なんです。心臓のドキドキや、発汗や、緊張による声の震えは一種の生理現象。(医学的にいえば自律神経の働き)なので、「やめよう」と思ってやめられるものじゃありません。

ここで、イメージしていた自分と、現実の自分とのギャップを思い知ってしまうわけなんです。自分のなりたいイメージとは真逆の、惨めな自分がいる。カッコ悪い自分。それを分かっていながら、どうすることもできない。

こうなったとき、脳がどうしていいか分からずパニックを起こし、頭の中が真っ白になってしまう。つまり、あがった状態に入ってしまう――というのが心理学での説明です。

ビデオで見る現実の自分

イメージと現実とのギャップがあがり症の(1つの)原因なら、そのギャップを無くしてしまえばいい、というのがあがり症克服の1つの考え方。自分が思い描いた自己イメージと、現実の自分がほぼ同じなら、脳は驚くこともなく、パニックにもならないからですね。

そのための方法が、冒頭で書いたビデオ撮影。

話し方教室でビデオを撮ったとき、生徒たちの感想で圧倒的に多かったのが、「思ったより普通に話せていた」というもの。

管理人は、体に力が入らず、手がひどく震えていたはずだったのですが、ビデオで見ると、どう見ても震えているようには見えない。

「顔がぴくぴく引き攣った」と言う人や「泣き出しそうな顔になっていたはず」と言う人もいましたが、ビデオに映った顔は「ちょっとばかり緊張した表情」といった程度。

あがりは、意外と表に出ていないんですね。これが現実なんです。「思ったより普通に話せている」のが現実。

自己イメージと現実が近づく

「自分で考えている現実は、本当の現実じゃない」と、ビデオを撮った先生は言っていました。

心臓のドキドキや、声の震えや、手の汗は、自分ではとても大きく感じられるものですが、周囲の人が見る現実とは一致しません。そんな惨めな自分像は、いってみれば、「自分が現実だと思い込んでいる想像上の現実」(ちょっとややこしいですが)。周囲の人には、心臓のドキドキは見えません。手の汗も見えません。声の震えや手足の震え? 5メートル離れてしまえばまるで気がつきません。なのに、自分でそれを大きく感じているから、そっちが現実だと思ってしまうのです。

ビデオを撮って見ると、想像上の現実ではなく、本当の現実が分かります。

それが分かると、自己イメージと現実が、いくらか近づきます。「そんなにカッコ悪くないじゃないか、自分」という気になる。そうすると、心臓がドキドキし始めても、声がちょっとくらい震えても、「バレてないんだからいいか」と思える。パニックにならずに、話を進められるようになるんです。

ビデオに撮って見るといいのは、こういう理由からです。

あがっている自分を撮るのは、気恥ずかしくて嫌かもしれません。(少なくとも管理人はそうです)でも、そこを我慢して、一度やってみることをおすすめします。

ただ、ビデオだけであがり症が治るとは思わない方がいい。(なかには治ってしまった人もいましたが)話し方教室の先生も、ビデオだけで治るとは思っていません。

ビデオは、自分を見る目を変えて、あがり症克服のきっかけを作るもの。大事なのは、そこから先に何をやるかです。

あがり症を無くしたい人にぜひ見てほしいもの

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あがり症改善プログラム
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