あがり症の心理的4原因~心理カウンセラーが言っていること

人はなぜあがってしまうのか? その原因が分かれば、あがり症は治せるのでは――管理人はそう思ってあがりの原因をいろいろ調べました。あがり症克服に取り組んでいた頃のことです。

そもそも、自分でも、自分があがる理由が分からなかったからなんです。別にあがる必要なんかない、と分かっていても、その場になるとあがりのスイッチが入ってしまう。これじゃあ治しようがありませんよね。

そこで助けを求めたのが、心理学の本やサイト。他にも、あがり専門の心理カウンセラーが書いているブログを、片っ端から読みました。

そして分かったのは、ちょっと残念ですが、あがりの原因は医学的に特定されていないということ。そもそも「あがる」とは何なのかが曖昧なので、(学術的に定義がされていないので)医学的な研究が進んでいないんですね。

それでも、心理学者やあがり症専門のカウンセラーは、原因の目星をある程度つけています。人によって多少意見の違いがありますが、多くの人が次の4つを心理的原因として挙げています。

他人からの評価

他人からの評価を気にし過ぎることがあがりの原因である、という心理カウンセラーが多くいます。また、アメリカの有名な心理学者バリー・シュレンカーは、1992年に医学専門誌「Psychological Bulletin」に発表した論文『Social anxiety and self-presentation: a conceptualization and model』の中で同じことを言っています。評価、と言っても勤務評定や成績の評価だけでなく、「他人からどんなイメージで見られているか」「どう思われているか」ということ全部を含みます。

例えば、学生時代の本読みで声が震えて以来あがるようになった、という人は少なくありません。こういう人は、「声が震える惨めな自分の姿を晒した」→「人はこんな自分を、小心者、臆病者と思ったはず」→「低く評価された」と考え、自己嫌悪に陥り、あがりが酷くなってしまうそうです。

また、会社での地位が上がり、部下ができたとたんにあがり症になったという人も珍しくありません。こういう人は、会社の評定とは別に、部下からの暗黙の「評価」が気になり、「良い上司であらねば」と緊張しすぎてあがってしまうといわれます。

あがり症克服の心得として、「開き直ってダメな自分を見せろ」とか「自分のことは捨ててかかれ」ということがよく言われますが、こういった教訓は、「他人の評価」という心理的原因を消すことが目的といえます。

自己イメージのギャップ

心理カウンセラーたちが、あがりの原因としてもう1つ挙げているのは、自己イメージと現実とのギャップです。

人には誰でも、自分がイメージする自分というものがありますよね。一種の理想的な自分、と言い換えていいかもしれません。

例えば、学校のクラスで本を音読するとき、「堂々とした態度で、みんなが感心するように読み上げる自分」をイメージする人が多いのでは? あるいは異性と話すとき、「相手を惹きつける魅力ある自分」をイメージしませんか? こういったものが自己イメージ。「こうありたい」と願う自分のイメージです。

ところが、実際にはそううまく行かない。すると、現実の自分との間にギャップが生まれます。声が震えてしまったり、身体が震えてしまったりすると、「こうありたい」自分と、そうでない自分とのギャップを認識せざるをえなくなる。そこに失望感が生まれ、失望感は自己嫌悪に発展し、自信を失ってますます声が震える、あるいは身体が震える、ということになる。

こうしてあがりの悪循環が起こり、あがり「症」として定着してしまうと言われています。

また、部下ができたとたんあがり症になってしまう人の場合も、同じことがいえます。部下に対して見せたい自分――例えば、みんなから頼られる自分とか、堂々と落ち着いた自分とか、そういう自己イメージと、現実の自分とのギャップを突きつけられると、失望感→自己嫌悪→あがりの悪循環が生まれてしまう。

あがり症専門のカウンセラーや話し方教室の先生は、よく「自分があがっている事実を素直に認めなさい」とアドバイスします。また、もう少し厳しく、「ダメな自分を認め、受け入れろ」という人もいます。こういった指導はどれも、自己イメージを現実の自分に近づけ、ギャップを無くすことが目的と言っていいでしょう。

どうしていいか分からない状態

どうにかしたいのにどうしていいか分からない――こんなジレンマに陥ったとき、脳がパニックを起こし、あがってしまうと言われます。

例えば、緊張で心臓がドキドキし始めたとき、「これはまずいぞ」と思って落ち着こうとする。けれど、心臓の動きを意志力でコントロールすることは、まずできません。(ヨガの行者でもない限り)

すると、心臓のドキドキを「どうにかしたいのにどうしていいか分からない」状況になる。すると、脳が「あがり」というパニックを起こし、頭の中が真っ白になってしまうわけです。

あるいは、スピーチの本番で、用意していたメモを見落として話の順番が分からなくなってしまったようなとき、何とか話の筋を戻してうまくまとめたい、と誰もが思うはず。でも、どうやってまとめていいかわからなければ、やはり頭が真っ白に。脳があがりというパニックを起こしてしまうわけです。

話し方教室の先生やスピーチトレーナーは、口うるさいくらいに「事前の準備を念入りに」と言います。スピーチする会場の下見や予行演習、当日使う資料やスライドの確認など、準備を十分過ぎるくらいにしておくように、と。そうすれば、不測の事態を防げ(100%ではありませんが)、「どうしていいかわからない」状況にならずに済むからです。

癖になった条件反射

人前に出て、上に挙げたような原因であがってしまったとしても、それが1回だけなら「あがり症」ということにはなりません。たまたまその時、混乱してしまっただけ。

でもこれが、毎回になると困ります。人前に出るだけで、ほとんど自動的にあがってしまう。こうなると悩みは大きい。

あがり症専門の心理カウンセラーは、「あがり症は一種の条件反射だ」と言っています。

あがり症の人は、最初からそうだったわけではありません。最初は、上に挙げたような原因で、何らかの「あがり」経験をする。その経験がトラウマになり、自己否定や自己嫌悪に陥る。すると、人前で自信が持てなくなり、何度でもあがるようになる。そんなあがり経験をくり返すうちに、あがることが条件反射となって脳に刷り込まれてしまう。ほとんどの人が、こういう筋道をたどっていると言われます。

こうなってくると、あがりの原因はよく分からなくなって来ます。最初にあった具体的な原因はだんだん薄らいで、癖になった条件反射が原因と言った方がよくなって来ます。

あがり症のカウンセリングやあがり症克服の指導では、「自己承認」や「成功体験の積み重ね」を大切にしていますが、それは、癖になってしまったあがりの条件反射を断ち切ることが目的といえます。

このように、あがり症の原因と見られているものはいくつかあり、それぞれに対して、現在、様々なアプローチ法が考えられています。ネットを見るといろいろな指導メソッドが紹介されていますが、どの原因を重点的に攻めるかという点で、特長に違いが出ています。

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